夜が静寂を取り戻す頃

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【読書】 帰ってきたヒトラー - ティムール・ヴィルメシュ / 河出文庫

帰ってきたヒトラー 上

帰ってきたヒトラー 上

帰ってきたヒトラー 下

帰ってきたヒトラー 下

タイトルの通り、現代にヒトラーが蘇り、周囲の勘違いによってコメディアンとして有名になる話。卓越した使命感をもった彼が、現代ドイツを激烈に批判する様子は痛快。ばかげたテレビ番組、多機能過ぎてわけが分からなくなった携帯電話(スマートフォン)への批判など、納得させられる部分も多い。

作中でヒトラーは冷酷な独裁者としてではなく、親しみやすい人物としてユーモラスに描かれる点もまた、ヒトラーが拒絶されている現代ドイツへの挑戦となっているらしい。

表紙が秀逸に思われる。また、下巻巻末の解説が的確で秀逸だった。

実際に『我が闘争』の語り口を見ると、逆に『帰ってきたヒトラー』のモノローグ展開の凄さ、リアルさがよくわかる。両者はよく似ている、しかし単に形式的に似せているのではない。周囲の森羅万象を、オレ的な文脈で徹底的に再解釈しつくす。そして言語的に定義する。すると周囲に一種の擬似世界が生じる、というヒトラーの「根本原理」が、昨秋で見事に機能しているのだ。
(中略)
オレには世界がそのようなシステムとして見えるから仕方ないでしょ、という首尾一貫した観点のことで、だからこそ強靭なのだ。

windows10で回復ドライブを作る

参考

Windows10 回復ドライブをUSBメモリに作成 予想以上に時間がかかった | ThinkPad X240sを使い倒す シンクパッドのレビュー・カスタマイズ

必要なもの : usb16GB
できること : WinOSの復元(多分)

ほんとうはそのあと適当に軽量Linuxいれようとおもったんだけど、(おそらくドライバの関係で)Wifiが動かず面倒になったのでwindowsを使い続けている。

インストールする linux 候補にしていたもの

  • linuxBean
  • wattOS
  • ArchLinux

【読書】プラットフォーム - ミシェル・ウエルベック

あらすじ : ミシェル(作中)「セックス!セックスはいらんかね~」

なんと作中にミシェルがでてくる。彼は旅行ツアーで知り合った、女性ヴァレリーと恋におち愛を知る。行き詰まり、自殺していると彼がみなす西洋において彼女は、贈与に喜びを感じることができる稀有な人間であった。
ミシェルは旅行会社に勤める彼女とともに、西洋人と第三世界の人々の需要と供給をマッチさせるセックス観光を企画する。

セックス・セックス・セックス!

【読書】服従 - ミシェル・ウエルベック

服従

服従

あらすじ: 2022年にイスラム政権が発足し急激に変化していくフランスにおいて、ユイスマンスの研究家である大学教授の主人公は流れに身を任せていく。

発売日に起こった シャルリー・エブド襲撃事件 とシンクロしたことで注目を集めた。 一見とっぴに見えるが、自殺しかけのEU社会をイスラムが覆うというの話は、読み進めていくうちに説得力がましてきてひやりとした。『プラットフォーム』ではメタメタにイスラムを批判してたのでややびっくり。

フランスの政治や、文学についての知識が皆無なためそのあたりは完全に理解できず残念。

REALKYOTO の書評がよい。


追記 :

シャルリー・エブド事件があった1月7日は、たまたま『服従』の出版日で、ウエルベックは当初テロの標的とすら噂された。ウエルベックは、犠牲者のひとりで友人の経済ジャーナリスト、ベルナール・マリスの死に「私はシャルリーだ」と涙を見せた後はしばらくマスコミから姿を消し、1月末に再び現れて「我々には火に油を注ぐ権利がある」と発言した。
イスラモフォビアと フランス流「自由原理主義」の疲弊

【読書】ある島の可能性 - ミシェル・ウエルベック

ある島の可能性

ある島の可能性

結局のところ、人は一人で生まれ、一人で生き、一人で死ぬ

あらすじ:

ようこそ、永遠の命へ。
物語は世界の終わりから始まる。喜びも、恐れも、快楽も失った人類は、ネオ・ヒューマンと呼ばれる永遠に生まれ変われる肉体を得た。過去への手がかりは祖先たちが残した人生記。
ここに一人の男のそれがある。精巧を手にしながら、老いに震え、女たちのなかに仔犬のように身をすくめ、愛を求め続けたダニエル。その心の軌跡を、彼の末裔たちは辿り、夢見る。
新たな未来の到来を。
命が解き放たれる日を。

感想:

結局のところ、人は一人で生まれ、一人で生き、一人で死ぬ。あまりに救いがないが、静かな考察から隙なく流麗に語られる言葉に反論はできそうにない。

内容としては、愛と性と生についての、筆者ウエルベック私小説、あるいはSF。愛については経験がないのであまり共感はできないはずなのに、心をえぐられた。

終章のシーン。ひたすら悲しい。

もう一度読み直すべき本だと思う。筆者の他の本も読む。 /